GROMACS(グローマックス、Groningen Machine for Chemical Simulations、グローニンゲン・マシン・フォー・ケミカル・シミュレーションズ)は、フローニンゲン大学で開発された分子動力学シミュレーションのソフトウェアパッケージである。現在は世界中の開発者により維持管理されている。分子動力学シミュレーション分野の中で高速かつ利用者の多いソフトウェアパッケージの一つであり、CPUおよびGPU上で動作する。自由/オープンソースソフトウェアであり、GNU General Public License、GNU Lesser General Public License(バージョン4.6から)の下で公開されている。

歴史

GROMACSプロジェクトは1991年にオランダ、フローニンゲン大学生物物理化学科で始まった(1991年-2000年)。GROMACSは並列計算を前提として設計・プログラミングされている。プログラムの大部分はC言語で記述されており、同じグループが以前に開発したGROMOS(FORTRAN 77ベース)を参考としている。バージョン4.6時点では、SSEやAVX、HPC-ACEなどの拡張命令を用いたアセンブリ言語で一部実装されており、高速な計算が可能となっている。

2001年からは、スウェーデンの王立工科大学とウプサラ大学のGROMACS開発チームによって開発されている。

機能

計算アルゴリズムの工夫と各種プロセッサに特化したチューニングの両方により高度に高速化されており、CPUを使用した計算において標準的な分子動力学シミュレーションパッケージよりも3〜10倍程度高速に動作する。操作はコマンドラインから行われ、ユーザは入出力ファイルを介してGROMACSとやりとりを行う。GROMACSは計算の進行度合いの表示機能、トラクジェクトリ表示機能、トラクジェクトリ解析のための豊富なライブラリなどを備える。また、複数の力場(GROMACS、GROMOS、OPLS-AA、AMBER、CHARMM)をサポートすることにより、高い柔軟性を確保している。並列計算方式としてMPI並列およびスレッド並列に対応している。

シミュレーション

  • 分子動力学計算(ニュートン運動方程式、ランジュバン動力学)
  • エネルギー最小化計算(共役勾配法、最急降下法)
  • 基準振動解析
  • 相関関数

アンサンブル

  • Weak Coupling法(温度・圧力制御)
  • Nose-Hoover法(温度制御)
  • Parrinello-Rahman法(圧力制御)
  • Martyna-Tobias-Tuckerman-Klein法(温度・圧力制御)

長距離相互作用の取り扱い

  • カットオフ法(Group based、twin-range、スイッチング関数、シフト関数)
  • PME法 (particle mesh Ewald)
  • PPPM法 (particle-particle particle mesh Ewald)
  • Reaction Field法
  • ユーザ定義テーブル関数

自由エネルギー計算

  • 熱力学的積分法 (thermodynamic integration)
  • 自由エネルギー摂動法 (free energy perturbation)
  • 粒子挿入法 (test particle insertion)
  • レプリカ交換法 (replica exchange)

脚注

参考文献

  • Herman J. C. Berendsen; David van der Spoel; Rudi van Drunen (1995). “GROMACS: A message-passing parallel molecular dynamics implementation”. Computer Physics Communications 91 (1-3): 43-56. doi:10.1016/0010-4655(95)00042-E. 
  • Erik Lindahl; Berk Hess; David van der Spoel (2001). “GROMACS 3.0: a package for molecular simulation and trajectory analysis”. Journal of Molecular Modeling 7: 301-317. doi:10.1007/s008940100045. 
  • David van der Spoel; Erik Lindahl; Berk Hess; Gerrit Groenhof; Alan E. Mark; Herman J. C. Berendsen (2005). “GROMACS: Fast, flexible, and free”. Journal of Computational Chemistry 26 (16): 1701-1718. doi:10.1002/jcc.20291. 
  • Berk Hess; C. Kutzner; D. van der Spoel; E. Lindahl (2008). “GROMACS 4: Algorithms for Highly Efficient, Load-Balanced, and Scalable Molecular Simulation”. Journal of Chemical Theory & Computation 4: 435-447. doi:10.1021/ct700301q. 

外部リンク

  • GROMACS Webページ

(PDF) GROMACS Tutorial

GitHub OSGConnect/TOREVIEWtutorialgromacs Molecular dynamics using

How to install a new Molecular Simulation Package in Gromacs? User

GROMACSによるMD計算とトラジェクトリ解析 MolDesk

如何使用GROMACS软件进行分子动力学模拟_弹性高性能计算(EHPC)阿里云帮助中心