『Summer』(サマー)は、日本の作曲家、久石譲の楽曲。1999年公開の映画『菊次郎の夏』(監督・北野武)のメインテーマ。後にトヨタ『カローラ』のCMやキリンビバレッジの企業CMなどにも使用された。
解説
幅広い音楽性が盛り込まれた久石譲の集大成ともいえる楽曲。映画『菊次郎の夏』では、劇中において様々なアレンジでリフレインされており、サウンドトラック盤ではそれぞれタイトルが異なっている。サウンドトラックの場合、「Summer」は映画のオープニングで使用されている音源のことを指す。『キーボードマガジン』1999年8月号に本曲のスコアが掲載された。編成はピアノ、弦五部、キーボード、ハープ、パーカッション。
「Summer」は前半の主題(映画のメインタイトルおよびCMで流れる旋律はここに当たる)と、後半の副題と、主題の変奏から構成されている。サウンドトラックでは、「Going Out」「Mad Summer」「River Side」が主題の旋律。また、「The Rain」「Summer Road」の終結部も主題の旋律となる。「Kindness」「Angel Bell」「Two Hearts」「Summer Road」では副題の旋律が使われている。
監督の北野武からメインテーマには「絶対にピアノでリリカル(叙情的)なものを」と依頼されていたため、久石はその意向に沿った主題(第1テーマ)と、軽くて爽やかな副題(第2テーマ)を作曲した。ところが北野が後者を気に入ったため、主題と副題が逆転し、久石は映画で使用するために押さえていた箇所を全て差し替えることになったという。久石は北野について「しかし、そのときに監督が出した方向性というのは、実は圧倒的に正しいんですよ。僕なんかでは太刀打ちできない『時代を見つめる目』があるんです」と述べている。
セルフカバー
久石譲のコンサートやソロアルバムでは、副題は使用せず主題を中心とした独自の構成がなされており、アンサンブル、ピアノソロ、オーケストラ等、様々な編成で演奏されている。
イギリスの弦楽四重奏団、バラネスク・カルテットと共演したアンサンブルコンサートツアー「PIANO STORIES'99 Ensemble Night with Balanescu Quartet」(公演期間1999年10〜11月)で初演。また、この公演と同編成でレコーディングされたアルバム『Shoot The Violist〜ヴィオリストを撃て〜』(2000年)に初収録された。
「2001 JOE HISAISHI SUPER ORCHESTRA NIGHT」(公演期間2001年10〜12月)のアンコールでピアノソロ初演。ピアノソロアルバム『ENCORE』(2002年)にも同アレンジで収録された。
「シンフォニックスペシャル2003〜子供たちとかつて子供であった人たちへ〜」(公演期間2003年7〜8月)のアンコールでオーケストラ初演。この模様はライブベスト盤『空想美術館』に収録された。
テレビCM
2000年より、カローラセダンのCM(「変われるって、ドキドキ。(セダン)」篇・2000 - 2001年)およびカローラフィールダーのCM(「変われるって、ドキドキ。(フィールダー)」篇・2000 - 2002年)に、サウンドトラックの「Summer」が使用された。
つんく♂出演のカローラランクスのCM(「先いくって、ドキドキ。」篇・2001年)では、サウンドトラックより「Mad Summer」が使用された。
森高千里出演のカローラスパシオのCM(「広がるって、ドキドキ。」篇・2001 - 2002年)では、CM用に制作されたギター・バージョンが使用された。ギター・バージョンは久石譲のCMトラックを集めたアルバム『CURVED MUSIC II CM Tracks of Joe Hisaishi』(2003年)に収録されている。
2023年より、キリンビバレッジの機能性飲料CM、および企業CMにおいて使用されている。
収録作品
オリジナル
アレンジバージョン
脚注




